座って過ごすと寿命が縮む!?

先日、座って過ごす時間が長いほど平均寿命が短くなるという研究が、医学誌「American Journal of  Epidemiology」に掲載されました。特に病歴のない成人12万3,216人に対し、14年間行った追跡調査です。

その結果は次のとおりでした。「1日6時間を座って過ごす人は、座る時間が3時間未満の人に比べて死亡リスクが女性で37%、男性で17%高かった。1日当たりわずかでも運動をすれば、座っていることによる死亡リスクが軽減される傾向がみられたが、運動を考慮に入れても死亡リスクへの影響は依然として有意なものであった。一方、長時間座って過ごし、かつ運動や体を動かすことをしない人はさらに死亡リスクが高く、女性では94%、男性では48%であった。」

寿命が縮む理由は?

この結果について、研究を行ったAlpa Patel博士は、2つの理由を述べています。ひとつは、「座っている時間が長いほどエネルギーの総消費量が少なくなり、体重増加や肥満になりやすい」こと。もうひとつは、「筋肉、特に脚の筋肉を動かさないと、さまざまなホルモンの分泌が変化し、トリグリセライド(中性脂肪)、コレステロールなど、心疾患やその他の疾患マーカーに影響がある」ということです。

これまで、座っている時間と寿命の長さとの因果関係を調べた研究はほとんどなかったのだそうです。運動不足が身体に良くないことは、私たちはよく知っていますが、こうやって客観的に数字で示されると、なんだか急に立ち上がって運動したい衝動に駆られますね。

「座って過ごす」をカイロから考えると

座ることの身体への影響を、カイロプラクティックの視点から考えると、座っている時間の多い方に共通してみられる、いわゆる猫背姿勢が問題になってきます。

猫背姿勢になると、胸の前側が縮こまって呼吸が浅くなってしまいます。すると、十分な酸素が身体全体に行き渡らなくなり、「疲れやすい」といった症状が現れます。また、横隔膜は呼吸と共にポンプのように作用して内臓を動かし、内臓の働きも助けます。さらに、横隔膜は心膜という心臓を包んでいる膜組織と連結しているので、心臓の働きにも影響すると考えられます。つまり、猫背姿勢は、正しい呼吸に悪影響を及ぼし、血液や内臓の働きを阻害する可能性があるのです。以上のようなことも、寿命に何らかの影響を与えているのかもしれません。

参考文献